鍼灸について

 
東洋医学では、大きく2つの観点から施術を行います。

①本治法

本冶法とは、自然治癒力・免疫力を高め、生命力を強化し自らの力で病を治す。
本質を施術する方法で、五臓六府へのアプローチ(全体治療)がメインです。

②標冶法

標冶法とは、症状(痛みや不快感)を直接取り去る。痛みのある部位を直接施術し症状を抑える方法です。(鍼の本数はやや多めですが、熟練した技により鍼の痛みは感じさせません。)

当院では、患者様の症状にあった方法(全体・部分)で、鍼の本数を少なくやわらかい刺激により施術をさせていただいています。
全体治療は、8つのツボ(経穴)を使った「奇経治療」を行います。
8つのツボ(経穴)から、その方の症状にあったツボ(経穴)を2~4つ選択します。
ソフトでやさしい刺激をあたえ、経絡バランスを整えます。

瞑眩(めんげん)作用について

 

すべての人に出るとは限りませんが、鍼灸治療後に一時的にからだがだるくなったり、症状が強くなったと感じることが稀にあります。
これを東洋医学では、瞑眩(めんげん)反応といいます。
瞑眩(めんげん)反応は、からだがより健康な状態に向かう為の好転反応と云われています。
これは、人間に備わっている自然治癒力が呼び起され、病と闘い始めた証拠だとも云われています。

治療期間について

 

急性症状は、比較的よくなるのも早いです。
慢性症状は、どうしても治るのに時間がかかりますし、症状によっては現状維持が、治療の目的のものもあります。
その方の持つ自然治癒力・回復力にも個人差があり、1~2回の施術によりおおよそ期間がわかります。
また、予防医学としても東洋医学は大変優れたものです。日々の健康管理のためにも鍼灸治療は続けたいものです。

鍼灸治療の適応症

 

神経系疾患 神経痛 神経麻痺 自律神経失調症 頭痛など
運動器系疾患 関節炎 リウマチ 頚肩腕症候群 五十肩 腱鞘炎 腰痛など
循環器系疾患 高血圧 動悸 息切れなど
呼吸器系疾患 喘息 気管支炎など
消化器系疾患 胃腸病(胃炎、消化不良、下痢、便秘など) 肝障害 痔など
代謝内分泌系疾患 糖尿病 痛風 脚気など
婦人科系疾患 更年期障害 乳腺炎 生理障害 冷え性 偏頭痛など
耳鼻咽喉科系疾患 耳鳴り 難聴 メニエル病 鼻炎 花粉症 扁桃炎など
眼科系疾患 眼性疲労 仮性近視 ものもらいなど
小児科系疾患 夜泣き、疳虫、消化不良 夜尿症 虚弱体質の改善

主な疾患の分類・原因

鍼灸の適応症より主な疾患の分類・原因をご説明いたします。

坐骨神経痛

大きく①梨状筋性②硬膜性③ヘルニア性に分類することが出来ます。
原因としては、構造的な原因・内臓からくる原因・外傷性からくるものがあります。

※参照

  • ①脾臓機能障害  左梨状筋症候群
  • ②回盲弁機能障害 右梨状筋症候群
    慢性胃小腸障害 左右梨状筋症候
    大腸熱      右梨状筋症候群
    慢性オケツからくる卵巣機能障害
    左右梨状筋症候群

ギックリ腰

構造的な原因と内臓熱からくるもの、外傷性(外からの力)による原因が考えられます。
〔原因〕
①湿により仙腸関節(軸受け)の面圧が低下し骨間鞭膜が破傷したもの
(靱帯は コラーゲンの水分28%正常な働き、30%以上で支持力低下となる為)
②内臓の熱による直接的及び下腹部圧低下による大腰筋収縮
③冷え 圧力= 熱  ↓ 大腰筋性
体積(熱量が下がる(冷え)と圧力が低下する大腰筋の支持力が低下する)
④外傷  仙腸関節性(左or右)  股関接性(右が多い)

症状により鑑別
①仙腸関節性 → 仙腸関節付近の痛み 坐位困難 湿反応
②大腰筋性  → 抑臥位で足を伸ばせない ベットに寝るのが困難
③硬膜性   → 直立にロック 部位がはっきりしない
④外傷性   → 原因が不明であるため 仙腸関節性か股関節性かの鑑別が必要

肩疾患 (五十肩・頚腕症候群)

内臓熱の有無(虚・実)による原因分類

①肺虚 肺実 右に多い TypeⅠⅡ F-T
②大腸虚 大腸実 右に多い TypeⅠⅡ
③心実 左に多い TypeⅢ
④肝実 右に多い TypeⅠ
⑤胃実 左に多い TypeⅡ
⑥外傷 野球などのスポーツや仕事による過負荷

〔臨床症状〕
①運動制限 挙上障害
1)虚 →経絡内の正気が不足している状態。臨時的には、インナーマッスル(健板)に緩みが生じ、肩甲上腕関節の面左が低い状態。湿も関与する場合がある
2)実 →経絡内の邪気(右に熱邪)の過剰による筋収縮および気血の運行障害 臨床的にはアウターマッスル(右に大胸筋)が緊張している状態又虚の補正としても発生する
②自発痛 夜間痛
主に熱反応のよる堆動障害。夜間痛は瘀血に関与。実証に多い。しかし虚の五十肩でも食事等により一時的でも実になれば発生する可能性がある
③全体が不安定可動時にあるポイントに外れる様にぐらつく…虚による肩甲上腕関節の面圧の低下
④可動時にゴリゴリ音が鳴る…腱板の問題 面圧の低下
⑤上股への放散痛…熱反応 バリアブル

呼吸器系

〔原因〕

①胃熱の上昇により粘膜に炎症を起こす TypeⅠⅡ F-T
②腎虚により2次的に心熱が上昇し粘膜に炎症を起こす TypeⅢ
③腎虚により2次的に肝熱が上昇し粘膜に炎症を起こす TypeⅢ
③腎虚により2次的に肝熱が上昇し粘膜に炎症を起こす
停滞した湿を動かそうとして咳がでる
TypeⅠ
⑤肺熱による縦障
横隔膜のずれによる胸腔内変化(喘息)
TypeⅡ F-G
⑥脾虚による気滞
―メンタル性脾虚による気滞―
F-I